彼女は想いを伝えなかった。
   蔑まれるのが怖くなってしまったから。

   彼女に想いは伝わらなかった。
   離別の意思を怖れて耳を塞いでいたから。

   彼女は全てを壊すことにした。
   厳しさも冷たさも優しさも暖かさも、
   自分自身が拒んでいたことに気づかなかったから。

                       Shaketure Rantil




 などとどう見てもパクリなネタから振ってみました汐街由摩です。
 …マズかったかなあ?

 さて前回の最後でドールにされてしまったヒカルくん。晶さんとは違い、動くことも話すこともできません。事態を重く見た円会長は早急に検査と治療施設の建設を始めました。…皆さん忙しくて取材を受けさせてもらえるまで張り付いてようとしてたら、見事に巻き込まれて手伝わされました。引き続き死ぬかと思った。
 また、ヒカルくんを発見したのは晶さんの時と同じ私たちのクラスメイト、香織シュナイダーという子だそうでして。彼女は帰国子女の一人で容疑者扱いされてる一人で、今回二度も第一発見者だったために疑惑の視線が強くなっていました。
 天才ちびっこ先生・カミちゃんことカミーユ先生(この人も容疑者扱いされてる一人です)の協力や地底世界の文明の力もあって無事に二人の治療の目途も立ちました。何でも吸血の際にヴァンパイアの体から未知のレトロウィルスが送られ、人体のDNAが書き換えられて二人はドール化したとか…なんつーか何でもアリって感じがします。その治療法を立てられる乙女塾もスゴいですが。
 治療施設が完成する際に移動中の円会長がヴァンパイアに半ば操られたらしい山根茜さんの襲撃を受け、何日かヒカルくんが行方不明になってしまったりもしましたが無事に回収(その時、ずっと泣いてたらしいですが…この辺りは何も聞けませんでした)、ようやく目覚めたその日に最後のヴァンパイアの襲撃が治療施設にかけられて…

 えー。残念なことに肝心な場に立ち会えなかったため、私からのレポートはこの辺りで終わりになってしまいます。
 後日生徒会からは新種のウィルスが出回ったために今回の事件は発生、生徒全員に血清(ウソ)を打つことで解決、と表ではそういうオチで終わることになりました今回の事件。
 結局ヴァンパイアが誰だったのか。そもそもヴァンパイアというものが現れたことは私のようにごく一部の生徒は知っているのですが、詳細は伏せられ固く口止めされてしまいました。ていうか私に対しては新聞部員ということで情報漏洩を気にされたのかも知れませんが…
 いずれにしろ、以前のような平和な日常が戻ってきた今となってはぶっちゃけ皆さんどうでも良かったりしたようです。

 ただねー。
 私にはどうでもよくない。
 折角中世後期から近世後期にかけて、ずっとヨーロッパを探ってもらったライナルさんに申し訳なくて。

 …結果。
 レトロウィルスは外宇宙からやってきた完全なる新種。ただしどっかの空から来た災厄とは違って特段地球を乗っ取るつもりはないそうで、そもそもウィルスにそこまでの意思は無いんですが。
 そのレトロウィルスの持ち主は、それを体に入れていても問題ない存在、つまり元々人間では無かったようです。
 だからと言ってヴァンパイアが真祖というわけではないそうで。
 当該時期の西欧は錬金術師が金を作ろうと躍起になっていた時代でもあったそうで、金はさておき自らの知的好奇心を進めるために研究に打ち込んだ人も多かったようで。
 そして有名なアレ、賢者の石です。そんなモノを完成させてしまった人がいたらしく、全ての騒動はそれが原因になったとか…
 歴史の偉人たちも関わった今回の事件…
 うーん、忘れてしまったほうが彼らのためにもなりそうです。

 …あ、着信。
 …はいはい。あー、そんなことでも平和な時期なら記事になるねー。
 一つ行ってみるとしますか。


…外部から見た視点だとずいぶん流れが違うような…
今回独白部分が多く、人物の内面が重要視されています…って、いつものことかっ??
読んだあと、ちょっとだけ優しくなれる自分に気づけるかも知れません。

本田氏のネタとして「ヲタ特有の自虐ネタ」というのがあります。
正直毎回読んでて身につまされる思いもするわけで…
ヒカルも茜も、円も…ぅぅ(言葉にならない)。
人間周囲の理解がいかに重要かってもんですよ。
それだけに人間(特に日本人?)の排他的な感情は非常に鬱陶しいですね。
なんだかんだで他人の悪くも無い個性を認められないとか、実につまらんっ。

ISBN:4086303132 文庫 本田 透 集英社 2006/08 ¥600

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