滑り、止マレ。〜都龍駆潰し〜[1]
2005年12月8日 ニ次創作・CW 「今回久々に集まってもらったのは他でもない」
「使い古された言い回しを…」
「どうでも良かろうが。次の任務はチームを組んであたってもらおうと思う」
ライルの冷静なツッコミにも動じず淡々と説明を続ける創始者。
「…現代? 俺だけじゃダメなんですか」
雄摩が聞く。現代と言えば普段は彼の独壇場で、多少であれば戦闘もこなせてしまうのだが。
「うむ。あちらの参加条件の時点でチーム戦になる上に、他にも動けるものが必要だからな」
言いながら創始者の霧の手が概要書を配った。読みながらケルンがダレているのが見て取れる。
「かーっ、アホな連中のルールにある程度則んのか…めんどっちいなあ、現代は」
「そう言うな。誰もがお前みたいに気楽にできるわけじゃない」
「たまにはケルンもそんな目みてみたら? 結構楽しいかもね」
「んなワケねーよ…精神救済型の任務やって楽しかった覚えねえし」
創始者や雄摩の方が余程お気楽である。慣れている分か。
「単車に乗れと」
と、これはアケルナル。先ほどからのやり取りは全く意に介していない様子。
「そうだ、ちなみに転送指定時間は開催の一週間前、練習だけではなく情報収集も怠るな」
「了解」
相変わらずの冷静ぶりである。彼の場合は冷淡や冷酷という言葉の方が似合うが。
「質問ですが…このメンバーの決め手は?」
手を挙げたのはライナルだった。彼も普段らしく、細かいところに几帳面であった。
「片手で二輪を操作しなければならない状態上、もう片手だけで武器を扱えるワザのある奴が要る。基本的に片手剣を扱える奴が適格だと思ったからだ」
「成る程…了解しました」
「よし。他には特に無いな?」
メンバーはお互い顔を見合わせ、頷いた。
『行ってまいります』
主要任務種別 組織壊滅
副任務種別 個人救出
コード ××××××××××−××××××××××−××××××××××
作戦期限 三時間/af
作戦地点 現代系次元である対象次元内太陽系第三惑星日本国東京都内
次元コード ××××××××××××××××××××××××××××××××
主要任務対象 宝珠山グループ
警視庁
副任務対象 都龍駆(トルク)参加者
簡易説明 都龍駆とは所謂二輪リアル鬼ごっこである
賞金を掲げ三人1チーム制で月に一度東京都内で開催される
参加受付はインターネットによる申請、特に審査は無し
宝珠山グループ次期社長・宝珠山菊人が
社会不適合者の掃討という名目で警視庁の全面協力を受け開催
社会上層の人間による驕りが生み出した他者の真実を破壊する侵略に他ならない
完膚なきまでに主催者を消し尽くせ
また任務にて参加する前回の優勝者が「鬼」として参加している
最終的な目的は主催者への復讐のため、これを救出せよ
作戦人員指定
大会参加 嵐斗流/須藤彬/弟子屈昭仁
大会副掃討 会津輝明/目黒優
主催壊滅 野津圭太/汐街雄摩
以上
ドルンドルン…というエンジンの音が響く会場。
事前にて情報は全て集めきった。彼らならではと言うべきか、全ては理解の中だ。
賞金を善意で使うために参加した者もいるだろう。それを平然と“詳細を書かない”ことで殺戮の渦中に投げ込むなど、到底許せることではない。
大会本番前は普通のモーターイベントのような装いを見せているのもまた偽。
最も、ただの鬼ごっこで一千万円もの賞金が手に入ると思っているほど甘い考えを持ってる奴が――――
「おいおい一人三時間逃げ切れるだけで一千万かよ!? マジうめえ!」
「だろだろ!」
「さっきまで勝手に登録したの怒ってたの誰だよ…」
「ああん? お前だけお前だけ」
「…おいっ」
――――…………頭痛。
「馬鹿過ぎる。これでは社会上層の人間に嘗められても何も言えん」
「そう言うな昭仁。おそらく今まで参加者は全員殺られているのだろうし、リークも無いみたいだから大会の情報は誰も内容を知らないんだろう」
「……流。何度も言わせるな、お前はいちいちずれた答えを返すなと」
「?」
流は本気で分かっていないようだ…。
「だから流さん…昭仁が言ってるのは大会賞金に対して内容がユルすぎるってことだよ」
「あ、ああ…そういうことか」
やや呆けた返事の流。
「ふん、無闇な正義の塊の彬ですら分かるのに、そんなお前がNo.1など吐き気がするな」
「やめろよ…任務前だぞ」
自分の上の人間が無能であればあるほど怒りを感じるのは当然とばかりの昭仁。
いちいち言うことは的を射ていないことがかなり多いが、実力だけは圧倒的に負けているというのは納得がいかなかった。
だが任務に対しては、あのような頭の悪い人間が生まれるのも社会上層がしっかりしてないからだというのもまた一因、不満は無かった。
そうこうしているうちにスタートの時間になる。合図と同時に、一斉に走り出す参加者。
その百秒後に鬼がスタートする。最初の殺戮を防ぐ為にも三人はいくつかのグループに分かれてそれぞれ付いて行った。
一方輝明と優は気配を消しつつ探りながら大会エリアのビルや路地といった場所を飛び回っていた。
都龍駆のルールに、単車から十秒離れていると失格――つまり殺されるというものがある。
言うまでもなく、それまでに開催された大会の映像(勿論雄摩のPCによる視点インターネットによるもの)を見てどんな感じかは把握してある。どうやらそこここに狙撃手を配置してあるらしく、そちらを先に始末しなければ危険なのである。
スタートの合図と同時に優は高く飛び上がってビル上の気配を探知。
「気付かぬ内に気絶した方が、多分お前たちも幸せかも知れない」
暗い夜の空、辺りは薄くスモッグに覆われているものの探知した生命反応は間違わない。
優が放った幾つもの不可視の精神にダメージを与える魔力は正確に狙撃手たちをうち倒した。
地上で影と化して疾る輝明は隠れている狙撃手を見つけ次第昏倒させていく。
ビルの窓なら壁を駆け上がって開錠の魔術で窓を開け、一撃。
二人ともそれを繰り返すのみ。露払いのような参加だが、濫用される権力に仇なすだけでも心地よかった。
「使い古された言い回しを…」
「どうでも良かろうが。次の任務はチームを組んであたってもらおうと思う」
ライルの冷静なツッコミにも動じず淡々と説明を続ける創始者。
「…現代? 俺だけじゃダメなんですか」
雄摩が聞く。現代と言えば普段は彼の独壇場で、多少であれば戦闘もこなせてしまうのだが。
「うむ。あちらの参加条件の時点でチーム戦になる上に、他にも動けるものが必要だからな」
言いながら創始者の霧の手が概要書を配った。読みながらケルンがダレているのが見て取れる。
「かーっ、アホな連中のルールにある程度則んのか…めんどっちいなあ、現代は」
「そう言うな。誰もがお前みたいに気楽にできるわけじゃない」
「たまにはケルンもそんな目みてみたら? 結構楽しいかもね」
「んなワケねーよ…精神救済型の任務やって楽しかった覚えねえし」
創始者や雄摩の方が余程お気楽である。慣れている分か。
「単車に乗れと」
と、これはアケルナル。先ほどからのやり取りは全く意に介していない様子。
「そうだ、ちなみに転送指定時間は開催の一週間前、練習だけではなく情報収集も怠るな」
「了解」
相変わらずの冷静ぶりである。彼の場合は冷淡や冷酷という言葉の方が似合うが。
「質問ですが…このメンバーの決め手は?」
手を挙げたのはライナルだった。彼も普段らしく、細かいところに几帳面であった。
「片手で二輪を操作しなければならない状態上、もう片手だけで武器を扱えるワザのある奴が要る。基本的に片手剣を扱える奴が適格だと思ったからだ」
「成る程…了解しました」
「よし。他には特に無いな?」
メンバーはお互い顔を見合わせ、頷いた。
『行ってまいります』
主要任務種別 組織壊滅
副任務種別 個人救出
コード ××××××××××−××××××××××−××××××××××
作戦期限 三時間/af
作戦地点 現代系次元である対象次元内太陽系第三惑星日本国東京都内
次元コード ××××××××××××××××××××××××××××××××
主要任務対象 宝珠山グループ
警視庁
副任務対象 都龍駆(トルク)参加者
簡易説明 都龍駆とは所謂二輪リアル鬼ごっこである
賞金を掲げ三人1チーム制で月に一度東京都内で開催される
参加受付はインターネットによる申請、特に審査は無し
宝珠山グループ次期社長・宝珠山菊人が
社会不適合者の掃討という名目で警視庁の全面協力を受け開催
社会上層の人間による驕りが生み出した他者の真実を破壊する侵略に他ならない
完膚なきまでに主催者を消し尽くせ
また任務にて参加する前回の優勝者が「鬼」として参加している
最終的な目的は主催者への復讐のため、これを救出せよ
作戦人員指定
大会参加 嵐斗流/須藤彬/弟子屈昭仁
大会副掃討 会津輝明/目黒優
主催壊滅 野津圭太/汐街雄摩
以上
ドルンドルン…というエンジンの音が響く会場。
事前にて情報は全て集めきった。彼らならではと言うべきか、全ては理解の中だ。
賞金を善意で使うために参加した者もいるだろう。それを平然と“詳細を書かない”ことで殺戮の渦中に投げ込むなど、到底許せることではない。
大会本番前は普通のモーターイベントのような装いを見せているのもまた偽。
最も、ただの鬼ごっこで一千万円もの賞金が手に入ると思っているほど甘い考えを持ってる奴が――――
「おいおい一人三時間逃げ切れるだけで一千万かよ!? マジうめえ!」
「だろだろ!」
「さっきまで勝手に登録したの怒ってたの誰だよ…」
「ああん? お前だけお前だけ」
「…おいっ」
――――…………頭痛。
「馬鹿過ぎる。これでは社会上層の人間に嘗められても何も言えん」
「そう言うな昭仁。おそらく今まで参加者は全員殺られているのだろうし、リークも無いみたいだから大会の情報は誰も内容を知らないんだろう」
「……流。何度も言わせるな、お前はいちいちずれた答えを返すなと」
「?」
流は本気で分かっていないようだ…。
「だから流さん…昭仁が言ってるのは大会賞金に対して内容がユルすぎるってことだよ」
「あ、ああ…そういうことか」
やや呆けた返事の流。
「ふん、無闇な正義の塊の彬ですら分かるのに、そんなお前がNo.1など吐き気がするな」
「やめろよ…任務前だぞ」
自分の上の人間が無能であればあるほど怒りを感じるのは当然とばかりの昭仁。
いちいち言うことは的を射ていないことがかなり多いが、実力だけは圧倒的に負けているというのは納得がいかなかった。
だが任務に対しては、あのような頭の悪い人間が生まれるのも社会上層がしっかりしてないからだというのもまた一因、不満は無かった。
そうこうしているうちにスタートの時間になる。合図と同時に、一斉に走り出す参加者。
その百秒後に鬼がスタートする。最初の殺戮を防ぐ為にも三人はいくつかのグループに分かれてそれぞれ付いて行った。
一方輝明と優は気配を消しつつ探りながら大会エリアのビルや路地といった場所を飛び回っていた。
都龍駆のルールに、単車から十秒離れていると失格――つまり殺されるというものがある。
言うまでもなく、それまでに開催された大会の映像(勿論雄摩のPCによる視点インターネットによるもの)を見てどんな感じかは把握してある。どうやらそこここに狙撃手を配置してあるらしく、そちらを先に始末しなければ危険なのである。
スタートの合図と同時に優は高く飛び上がってビル上の気配を探知。
「気付かぬ内に気絶した方が、多分お前たちも幸せかも知れない」
暗い夜の空、辺りは薄くスモッグに覆われているものの探知した生命反応は間違わない。
優が放った幾つもの不可視の精神にダメージを与える魔力は正確に狙撃手たちをうち倒した。
地上で影と化して疾る輝明は隠れている狙撃手を見つけ次第昏倒させていく。
ビルの窓なら壁を駆け上がって開錠の魔術で窓を開け、一撃。
二人ともそれを繰り返すのみ。露払いのような参加だが、濫用される権力に仇なすだけでも心地よかった。
コメント