夜も更けて営業を終えた飲み屋はたちまちレジスタンスのアジトと化す。
それも今日で終わりかと思うとイロハは寂しくもあったが、それよりもこれからのことに緊張して身震いする方が先だった。
「イロハ…怖いのか?」
声の主はすらっとした体型の長い銀髪をまとめた青年。その瞳はこれから待ち受けているであろう戦いに向け、何一つの曇りを見せていない。
「…うん。あの時もいろいろあったけど、ちゃんと戦うのって初めてだから」
「あの時、か」
あの時。城の玉座の間で何が起こったのか。
死の影濃き前王、突如発覚したもう一人の皇女、悩む二人。そしてその一人の変貌、王位の掌握宣言――――
比較的平和だったこの国では王立の親衛隊員が国政を兼務していたために、次期国王の継承問題で揉めに揉めていた最中いきなりの皇女の態度の変化はまだお互い穏健だった派閥の間に巨大な溝を作り出し、最後には継承を宣言した方の派閥によってもう片方が城から全員追い出されるという結末で幕を閉じた。
以後の国の荒れようから、明らかに今の政治は力不足。そうであるにも関わらず、依然として城の門は闘争の直後から閉ざされたまま。
今の女王は何を考えているのか、どうして変わってしまったのか。
全ての謎はおそらく、あの時玉座の間にいた人々だけが知っているはず…
「…ロウ。シロウ!」
銀髪の青年は名を呼ばれてふと我に返った。
「…ああ、済まないナイア」
「いろいろ思うことはあるかも知れないけど、今はこれからの戦いに集中して。勝てないことには目的も果たせないわよ」
「分かってる」
一瞬見せた翳りは、先ほど話した少女――イロハの父親もまた、その玉座の間にいたことも関係していた。
もう一人の皇女が異常を感じて玉座の間に駆けつけたとき、その場には確かにイロハの父親もいたと言っていた。彼女本人はそのことを知らず、いずれにせよ城内部のことが全く分からない以上は今どうなっているのか知る由も無い。
そんな彼女を少し気に留めていただけだった。
会議室が騒がしい。隣の部屋で動けないダルマは敏感に気配を察知していた。
あれから数日、着々と城への突入計画が進んでいるのが会議から知れたが、それ以外のことは結局イロハからも何も聞けず取りとめの無い会話をするに留まっていた。
ガチャリ。
何の前触れも無しに扉が開かれ、以前の女性が現れる。
「なにやら大変そうだなあ」
初対面以来一切顔を見せなかった相手にもダルマは特に感情を見せずにさらりと言う。
その言葉に片眉を少し上げ、挑戦的な笑みを浮かべる女性。
「人ごとのように言ってもらっても困るわね。あれだけ話を聞かせたんだから、協力してもらうわよ」
「…な」
言ってダルマの足かせを外しにかかる。
「うちの情報班のおかげであなたの潔白が分かったから、解放も含めてね。…ほら、まさか脚が萎えてるなんて言わせないわ」
足は毎日足かせを付けたまま歩きまわっていたので大丈夫なのだが、いきなり協力しろとは。
「こういう扱いしておいて、しかも詳しい事情は何にも話さないまま勝手なことさせないで欲しいな」
拗ねた振りをすると女性は軽くため息をついた。
「そう言うと思った。こっちにいらっしゃい、説明代わりになるでしょう」
ダルマは立ち上がって、軽くなった足から少し柔軟体操すると数日間の自分の世界の全てから外に出た。
「………!」
同時に入って来た人物に、ダルマは目を丸くした。
誰が入って来たかはバレバレなのがつらい所です(苦笑)。
あとコメントがあるとカッコ数字が付いてしまいますので連番はカッコの形を変えました。
執筆の途中で普段顔も合わせようとしない親父がいきなり部屋に入ってきて、ぶっきらぼうに源泉徴収書持って来いと簡単に内容と期日を言って出て行きました。
事務的なことと俺の就職事情の他に言うことは無いんだろうか。一応親子なのに。
本日の検索ワード。
:AAA ビートマニア
無理ですorz
:fly away to india ツガル
出てないと思います。誰かコラしたりしてるんでしょうか?
それも今日で終わりかと思うとイロハは寂しくもあったが、それよりもこれからのことに緊張して身震いする方が先だった。
「イロハ…怖いのか?」
声の主はすらっとした体型の長い銀髪をまとめた青年。その瞳はこれから待ち受けているであろう戦いに向け、何一つの曇りを見せていない。
「…うん。あの時もいろいろあったけど、ちゃんと戦うのって初めてだから」
「あの時、か」
あの時。城の玉座の間で何が起こったのか。
死の影濃き前王、突如発覚したもう一人の皇女、悩む二人。そしてその一人の変貌、王位の掌握宣言――――
比較的平和だったこの国では王立の親衛隊員が国政を兼務していたために、次期国王の継承問題で揉めに揉めていた最中いきなりの皇女の態度の変化はまだお互い穏健だった派閥の間に巨大な溝を作り出し、最後には継承を宣言した方の派閥によってもう片方が城から全員追い出されるという結末で幕を閉じた。
以後の国の荒れようから、明らかに今の政治は力不足。そうであるにも関わらず、依然として城の門は闘争の直後から閉ざされたまま。
今の女王は何を考えているのか、どうして変わってしまったのか。
全ての謎はおそらく、あの時玉座の間にいた人々だけが知っているはず…
「…ロウ。シロウ!」
銀髪の青年は名を呼ばれてふと我に返った。
「…ああ、済まないナイア」
「いろいろ思うことはあるかも知れないけど、今はこれからの戦いに集中して。勝てないことには目的も果たせないわよ」
「分かってる」
一瞬見せた翳りは、先ほど話した少女――イロハの父親もまた、その玉座の間にいたことも関係していた。
もう一人の皇女が異常を感じて玉座の間に駆けつけたとき、その場には確かにイロハの父親もいたと言っていた。彼女本人はそのことを知らず、いずれにせよ城内部のことが全く分からない以上は今どうなっているのか知る由も無い。
そんな彼女を少し気に留めていただけだった。
会議室が騒がしい。隣の部屋で動けないダルマは敏感に気配を察知していた。
あれから数日、着々と城への突入計画が進んでいるのが会議から知れたが、それ以外のことは結局イロハからも何も聞けず取りとめの無い会話をするに留まっていた。
ガチャリ。
何の前触れも無しに扉が開かれ、以前の女性が現れる。
「なにやら大変そうだなあ」
初対面以来一切顔を見せなかった相手にもダルマは特に感情を見せずにさらりと言う。
その言葉に片眉を少し上げ、挑戦的な笑みを浮かべる女性。
「人ごとのように言ってもらっても困るわね。あれだけ話を聞かせたんだから、協力してもらうわよ」
「…な」
言ってダルマの足かせを外しにかかる。
「うちの情報班のおかげであなたの潔白が分かったから、解放も含めてね。…ほら、まさか脚が萎えてるなんて言わせないわ」
足は毎日足かせを付けたまま歩きまわっていたので大丈夫なのだが、いきなり協力しろとは。
「こういう扱いしておいて、しかも詳しい事情は何にも話さないまま勝手なことさせないで欲しいな」
拗ねた振りをすると女性は軽くため息をついた。
「そう言うと思った。こっちにいらっしゃい、説明代わりになるでしょう」
ダルマは立ち上がって、軽くなった足から少し柔軟体操すると数日間の自分の世界の全てから外に出た。
「………!」
同時に入って来た人物に、ダルマは目を丸くした。
誰が入って来たかはバレバレなのがつらい所です(苦笑)。
あとコメントがあるとカッコ数字が付いてしまいますので連番はカッコの形を変えました。
執筆の途中で普段顔も合わせようとしない親父がいきなり部屋に入ってきて、ぶっきらぼうに源泉徴収書持って来いと簡単に内容と期日を言って出て行きました。
事務的なことと俺の就職事情の他に言うことは無いんだろうか。一応親子なのに。
本日の検索ワード。
:AAA ビートマニア
無理ですorz
:fly away to india ツガル
出てないと思います。誰かコラしたりしてるんでしょうか?
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