萌えで満たされた世は、平和であるっ!
2005年10月31日 読書
後ろから肩を叩かれそうと感じた僕は、とりあえず避けた。
何度も叩かれそうなのでその都度避ける。
右。左。右。右。右。右。…右連射しようとし過ぎ。
無論そのまま左側に最短距離で避け続けようとすれば結果的に振り向いてしまうため、時々無駄に距離をとって避ける。
「…僕の手はそんなに汚れてるとでも?」
「いやあ全然。でもつかみはオッケーと思ってよ」
自分でも良く分からないことを思いながら、声の主ザッツに返事。
うん、僕自身も別にザッツを避けてるわけじゃないんだけど…笑いをとるためならこんくらいやらないと。
「それはそうと何の用?」
「…あなたがアホなマネするから忘れるところでしたよ。これ」
相変わらずいちいち言葉に棘を含ませながら彼は一枚の紙を取り出した。彼と最低限のコミュニケーションをとるには多少のことは流せないと、馬鹿にされてると勘違いしてしまうな。あんまりナイーブな精神の持ち主は彼と関わりあえなさそうでもったいない。
紙にはほんの僅か字が印刷されていた。何かの小説のあらすじのようだった。
…文を読む僕を見るザッツの目がにやけている。
…僕もなにやら思いついて、目がにやけ出した。
僕たちは無言で拳を握り合って、並んで廊下をある方向に向かって進み出した。
僕の部署の研究員の一人がその光景を見て首をかしげていた。
「雄摩くーん、しっごとだよーん」
ばーん! と扉を開けて僕とザッツは雄摩の部屋に登場した。
「…んわっ! ノックぐらいしてくださいよっ」
どこかの世界に出かけるつもりだったらしく、着替え中だったようだ。
「丁度イイ。その着替えは中止してもらおー」
「な、何ですかその口調。絶対ろくな事考えてないですね」
「ふふふ、僕らがコーディネートしてあげよう。この仕事には必須だよーん」
そう、この仕事には普通のファッションではダメなのさ。
あ、雄摩くん逃げ腰になってる。そりゃそうか。
「うわわ、ザッツさん離してくださいよ」
「まさか逃げられるなんて非現実的な事考えてないだろうね」
「………考えてません」
瞬時に雄摩くんの後ろに回って羽交い絞めにするザッツ。雄摩くん観念したな…にやり。
「で、衣装とか構成しないと」
普通に縫うとかやってると時間食っちゃうし、折角ある技術を使わないのもしょうもない。ここCWでは何かを作るときは構成物質を組み上げて生成するのがさくっとできてしまうのだ。
「用意してないわけがないだろ。さ、着替えと、それとメーク」
「め、メーク…激しいヤな予感」
舞台に立つ…という比喩もあながち間違って無いけど、別に普通の仕事ならそんな必要性はあまり無いしね。分かるよなあ。
空間を介して取り出だしたるザッツの構成した衣装は深緑色のブレザー。そして下はスラックスではなく、スカートなのだったり。
「うわあああ予想通りぃ!? 女装はイヤだあああ」
…うん。きっと正常な反応。でもねえ。
「ザッツ、なーんか忘れてない? それじゃあ仕事に差し支える部分があったりとかなかったりとか」
「言われなければ黙ってこのままにしようと思ってたのに、ディルアスさんは本当に自分勝手だなあ」
「…なんで?」
「自分だけ笑いを取ろうとして、人がやると止めるなんて」
「僕は主に自分がボケるからいいの。君がやると他人に恐ろしく負担をかけてる、要するに無理矢理巻き込むタイプだから違うんだよ」
さっき彼の手を避けまくったのは…別にいいじゃん。無理に女装させられるよりは精神負担軽いし。
「ディルアスさぁぁん」
「こらこら、泣いて抱きついて来ないでよ。とにかく行くとこ行かなきゃな」
「え、どこに行」
雄摩くんの言葉が途中で止まったのは、後ろからザッツが延髄チョップをしたから。
今のところ、このことは本人に言ってないんだよなあ。「盟約」の特殊事項なので不都合は無いんだけど、ちょっと腑に落ちない。
しょうがないか。雄摩くんだし。
「それじゃあ、行ってきます」
僕らの前には顔の半分だけ髪を伸ばして片目を隠した半端ミステリアスな美少女が軽く手を振っていた。
「彼女」が行ってしまうと僕は軽くため息をつく。
僕たちCWメンバーは生物のカテゴリにあてはまらず、姿形、その他身体に関するもろもろは全て自由に変更可能。早い話が変身しまくれるってことなんだよね。
雄摩くんだけは身体が命を持っている人間なんだけど、性別変換だけは出来る。ただし自分の意思では無理、CW本部にある然るべき専用装置でしか出来ない。
本人はそれを知らないし、性別が変わったときは今までもずっとその性別だった、と思っているはず。
…僕ら、「真実」が根底にあるはずの組織なのに。
彼だけは完全にその規定外。まだ僕も知らない、CWの、「盟約」の秘密。
まあ何だ…今は、とりあえず頑張ってきて。
雄摩くん、いや由摩(ゆうま)ちゃん。
…短編でスペース取り過ぎました。
さて、「アストロ!乙女塾!」です。
これでもかとばかりのお約束ネタの大連打、ところどころの解説、はっちゃけまくった設定。どれもこれもが突き抜けまくった大笑撃でした。折角のオチまでお約束笑化…非常にらしいです。
文庫でニ段組という構成もお堅い小説でしかお目にかかったことの無い形式でしたので、ある意味革命的な感じもー。
あとがきにてジャンプ名作リスペクトシーンを多数入れたとありますが、俺はまだ二十代、しかもジャンプをまともに読み始めたのが(それも一部だけ)つい数年前なので分からないネタも数多いかと。それでもかなり楽しめたと思えるのはひとえにヲタやってるからでしょう、多分。
チラ見した漫画が記憶のどこかに残っていて、何となく気付くというのは魂の為せる業でしょうか…自分で言うのはアレですが。「何が魂だギャハー」とセルフツッコミする自分の言葉が聞こえます。
あちこちの感想にてほとんどが倉田英之氏のコメント「やりすぎ」を肯定されております。ただ見ていると何が「やりすぎ」なのかは各人にて異なるように思われました。
困った事に俺はラノベすらもそんなに読んでないのです…所有してるのはスレイヤーズとかマリ見てぐらい…見たことあるのもオーフェン程度、というわけで比較対象が少ないのですが、ラノベというのはここまで範囲が広いのかと…ああまたも知らないがためのしょうもない感心が。
そんなわけで無知ゆえの言葉ですが、俺からも「やりすぎ」と言わせていただきます。
…込められているはずのルサンチマンだそうです、が…どうにも俺にはそれを聞くと涙が止まらない錯覚を感じるのです。
そして。
「しろはた」やこの前のツンデレ電波祭りにてお話されたそうですが、これは「俺萌え話」であると。
俺の場合、CWに見られるようにその世界にもう一人がおるというイメージが先行しているためになかなかの難題です。上の短編でも汐街由摩に行かせてますし…
そんな俺に作者様、俺にあなたになれと言うですかっ!
…ルサンチマンを抱え込む物書きとして、がんばってみたいと思います…
本日の検索ワード。
:メール着信音 ユーガッタメール
理由、不純でしょうか…
着メロは有り余ってるんですけど。IIDXネタばっかりで。
:イザヨイ 角 性別
どうやら同じことを考えていた方がおられますようで。
:サイガ×ポラリスss
書けと?
何度も叩かれそうなのでその都度避ける。
右。左。右。右。右。右。…右連射しようとし過ぎ。
無論そのまま左側に最短距離で避け続けようとすれば結果的に振り向いてしまうため、時々無駄に距離をとって避ける。
「…僕の手はそんなに汚れてるとでも?」
「いやあ全然。でもつかみはオッケーと思ってよ」
自分でも良く分からないことを思いながら、声の主ザッツに返事。
うん、僕自身も別にザッツを避けてるわけじゃないんだけど…笑いをとるためならこんくらいやらないと。
「それはそうと何の用?」
「…あなたがアホなマネするから忘れるところでしたよ。これ」
相変わらずいちいち言葉に棘を含ませながら彼は一枚の紙を取り出した。彼と最低限のコミュニケーションをとるには多少のことは流せないと、馬鹿にされてると勘違いしてしまうな。あんまりナイーブな精神の持ち主は彼と関わりあえなさそうでもったいない。
紙にはほんの僅か字が印刷されていた。何かの小説のあらすじのようだった。
…文を読む僕を見るザッツの目がにやけている。
…僕もなにやら思いついて、目がにやけ出した。
僕たちは無言で拳を握り合って、並んで廊下をある方向に向かって進み出した。
僕の部署の研究員の一人がその光景を見て首をかしげていた。
「雄摩くーん、しっごとだよーん」
ばーん! と扉を開けて僕とザッツは雄摩の部屋に登場した。
「…んわっ! ノックぐらいしてくださいよっ」
どこかの世界に出かけるつもりだったらしく、着替え中だったようだ。
「丁度イイ。その着替えは中止してもらおー」
「な、何ですかその口調。絶対ろくな事考えてないですね」
「ふふふ、僕らがコーディネートしてあげよう。この仕事には必須だよーん」
そう、この仕事には普通のファッションではダメなのさ。
あ、雄摩くん逃げ腰になってる。そりゃそうか。
「うわわ、ザッツさん離してくださいよ」
「まさか逃げられるなんて非現実的な事考えてないだろうね」
「………考えてません」
瞬時に雄摩くんの後ろに回って羽交い絞めにするザッツ。雄摩くん観念したな…にやり。
「で、衣装とか構成しないと」
普通に縫うとかやってると時間食っちゃうし、折角ある技術を使わないのもしょうもない。ここCWでは何かを作るときは構成物質を組み上げて生成するのがさくっとできてしまうのだ。
「用意してないわけがないだろ。さ、着替えと、それとメーク」
「め、メーク…激しいヤな予感」
舞台に立つ…という比喩もあながち間違って無いけど、別に普通の仕事ならそんな必要性はあまり無いしね。分かるよなあ。
空間を介して取り出だしたるザッツの構成した衣装は深緑色のブレザー。そして下はスラックスではなく、スカートなのだったり。
「うわあああ予想通りぃ!? 女装はイヤだあああ」
…うん。きっと正常な反応。でもねえ。
「ザッツ、なーんか忘れてない? それじゃあ仕事に差し支える部分があったりとかなかったりとか」
「言われなければ黙ってこのままにしようと思ってたのに、ディルアスさんは本当に自分勝手だなあ」
「…なんで?」
「自分だけ笑いを取ろうとして、人がやると止めるなんて」
「僕は主に自分がボケるからいいの。君がやると他人に恐ろしく負担をかけてる、要するに無理矢理巻き込むタイプだから違うんだよ」
さっき彼の手を避けまくったのは…別にいいじゃん。無理に女装させられるよりは精神負担軽いし。
「ディルアスさぁぁん」
「こらこら、泣いて抱きついて来ないでよ。とにかく行くとこ行かなきゃな」
「え、どこに行」
雄摩くんの言葉が途中で止まったのは、後ろからザッツが延髄チョップをしたから。
今のところ、このことは本人に言ってないんだよなあ。「盟約」の特殊事項なので不都合は無いんだけど、ちょっと腑に落ちない。
しょうがないか。雄摩くんだし。
「それじゃあ、行ってきます」
僕らの前には顔の半分だけ髪を伸ばして片目を隠した半端ミステリアスな美少女が軽く手を振っていた。
「彼女」が行ってしまうと僕は軽くため息をつく。
僕たちCWメンバーは生物のカテゴリにあてはまらず、姿形、その他身体に関するもろもろは全て自由に変更可能。早い話が変身しまくれるってことなんだよね。
雄摩くんだけは身体が命を持っている人間なんだけど、性別変換だけは出来る。ただし自分の意思では無理、CW本部にある然るべき専用装置でしか出来ない。
本人はそれを知らないし、性別が変わったときは今までもずっとその性別だった、と思っているはず。
…僕ら、「真実」が根底にあるはずの組織なのに。
彼だけは完全にその規定外。まだ僕も知らない、CWの、「盟約」の秘密。
まあ何だ…今は、とりあえず頑張ってきて。
雄摩くん、いや由摩(ゆうま)ちゃん。
…短編でスペース取り過ぎました。
さて、「アストロ!乙女塾!」です。
これでもかとばかりのお約束ネタの大連打、ところどころの解説、はっちゃけまくった設定。どれもこれもが突き抜けまくった大笑撃でした。折角のオチまでお約束笑化…非常にらしいです。
文庫でニ段組という構成もお堅い小説でしかお目にかかったことの無い形式でしたので、ある意味革命的な感じもー。
あとがきにてジャンプ名作リスペクトシーンを多数入れたとありますが、俺はまだ二十代、しかもジャンプをまともに読み始めたのが(それも一部だけ)つい数年前なので分からないネタも数多いかと。それでもかなり楽しめたと思えるのはひとえにヲタやってるからでしょう、多分。
チラ見した漫画が記憶のどこかに残っていて、何となく気付くというのは魂の為せる業でしょうか…自分で言うのはアレですが。「何が魂だギャハー」とセルフツッコミする自分の言葉が聞こえます。
あちこちの感想にてほとんどが倉田英之氏のコメント「やりすぎ」を肯定されております。ただ見ていると何が「やりすぎ」なのかは各人にて異なるように思われました。
困った事に俺はラノベすらもそんなに読んでないのです…所有してるのはスレイヤーズとかマリ見てぐらい…見たことあるのもオーフェン程度、というわけで比較対象が少ないのですが、ラノベというのはここまで範囲が広いのかと…ああまたも知らないがためのしょうもない感心が。
そんなわけで無知ゆえの言葉ですが、俺からも「やりすぎ」と言わせていただきます。
…込められているはずのルサンチマンだそうです、が…どうにも俺にはそれを聞くと涙が止まらない錯覚を感じるのです。
そして。
「しろはた」やこの前のツンデレ電波祭りにてお話されたそうですが、これは「俺萌え話」であると。
俺の場合、CWに見られるようにその世界にもう一人がおるというイメージが先行しているためになかなかの難題です。上の短編でも汐街由摩に行かせてますし…
そんな俺に作者様、俺にあなたになれと言うですかっ!
…ルサンチマンを抱え込む物書きとして、がんばってみたいと思います…
本日の検索ワード。
:メール着信音 ユーガッタメール
理由、不純でしょうか…
着メロは有り余ってるんですけど。IIDXネタばっかりで。
:イザヨイ 角 性別
どうやら同じことを考えていた方がおられますようで。
:サイガ×ポラリスss
書けと?
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