一度、こんなことをした。
 真正面から当たるという正攻法も悪くない、そう思って俺は金に物を言わせて――単に使うだけ使えるだけで贅沢は出来ない――とある現代世界にて広告を打ってみた。
 『本当に起きた真実を教えます――』
 …自分で書いてて激しいいかがわしさに少しくらくらしたが、本当にそれが出来るとなるとどう書けばいいのやら、ちょっと見当がつかなかった。
 本当ならタダでやったほうが良かった。そっちの方が広く真実を伝えられると思ったけど、それではあまりに人が押しかけ過ぎそうだ。単に物珍しさだけで来る様な連中や占いか何かで真実を知ることができるなどとほざく妄言吐きはお断りしたいところだしね。
 というわけで、高級感による真実味を出すためにあえて高額を設定してみた。実はこうしたほうが良かったりする。
 例えば高級品を安く売るという店の落とし穴がこれ。なまじ安いだけに信頼感が薄れ、買われないということになる。逆に高ければ高いほど、そういうモノという認識が高まるらしい。無論モノがそうであればの話。まあ、「高い」ということ自体にも価値があるってことだね。
 それはさておき、やや奥まった場所にある建物を買って事務所にし、それっぽい看板を掲げて客を待つ。
 比較的早く来たのは、スーツ姿の三十代後半ぐらいに見える男性だった。
 「私の仕事中の妻の行動を教えて欲しい」
 ………えーと。いきなり浮気調査ってやつですか?
 一応真実を知ってもらうという大前提には反していないので、請けることにして端末を操作。
 聞けば本人はバリバリの銀行マンで、奥さんは兼業主婦とのこと。銀行員の奥さんも兼業する時代か…不況って怖いな。
 端末は俺の支部で動いている俺のPCに繋げることができる。そこから指定した時間、場所を動画で流せる。依頼者は問うた先で突然自分たちの生活風景の画像を見せられて随分不審な目で見ていたが、残念ながら俺にとっては日常茶飯事だ。それ以前に、広告ちゃんと読んでるんだろうか。ただの探偵屋と思われるのもイヤなんだけど。
 …依頼者を送り出した後、自らもパートの準備をして家を出る。
 スーパーで働いてるようだ。主にレジ係をやっているみたいだが、この辺りは見ててもあまり意味が無いので早送り。
 「その間に何かありそうじゃないのか」との依頼人の声があったが、一応コマ送り状態で見えるわけだし怪しいところがあればそこを普通再生してみればいいだけのこと。実際レジの間は大半が普通の対応で、たまに常連らしきオバサンと少しの間しゃべっているだけのようだった。
 シフトが終わって入れ替わりの時間。なんだか慌しく帰宅の準備をして、急いで帰ったかと思うとすぐに化粧直し。パート出勤前より丁寧に仕上げたと見えた。
 街角で待っていること十数分。先ほどスーパーでちょっとだけ見えた男性スタッフが現れた。二十台くらいの若い男。…かなり遊んでる印象があった。
 会った二人は早速怪しげなホテルへ…
 そこまで見た時依頼者の彼は「もういい、証拠になる写真が出来たらこっちに連絡をくれ」と一方的に言い放って帰ってしまった。
 仕方なく俺は依頼者の妻の未来の行動をチェックし、教えられた住所を元に例のホテルの近場で張ってこっそりと撮影させてもらった。
 後日依頼者を呼び出して彼に持たせてやると、広告に書いた分だけの金の入った封筒を置いてさっさと帰っていった。

 その後も浮気調査が大半を占め。それ以外も金持ちがいなくなったペットや失せ物の調査などばかりの日々が続いた。
 ………おいおいおい。だからこれじゃ単なる探偵だぞ。
 俺は依頼費用を下げることにした。もう一度内容を変えた広告を打ち、値段を下げる。これならぎりぎり一般人でもなんとかなりそうな価格だ。
 そりゃ確かに高額なら真実味は増すだろうけど…手を出せるのが金のある連中だけ、それもそいつらからの認識が探偵扱いじゃ意味が無いし。
 次の日かなり朝早くから、女子高生っぽい制服の少女が現れた。
 「私の前世を占ってください」
 …今度は電波かよ。占い屋じゃないって広告に打ったはずなんだけど。

 ともあれ、客の幅拡大にはなった。忙しい日々が続いたが、なんてことはない。
 ごくたまに周囲とは関係無しに真実を訊きに来る人も来るので、しっかり請けておかねば。


酒入りながら打ってます。眠いです。
この話はそんなに長くならない予感。

…後日修正。なんでしょあのひどい書き方。

本日の検索ワード。
:オリオナエ
…検索の方では削除されてる模様。
うーむ、たしかに検索すると出ちゃうのか…
名作を汚してる感じもします。期待してくれた方、ごめんなさい。
でもとりあえず結末までは書きたいんです。許してね。

;手塚治虫 ブッダ 霊的エネルギー
手塚ブッダのそのエネルギーは…アジャセ王にやったアレでしょうか?
あの一連の話は「ブッダ」中屈指の名シーンだと思うのですよ。

:法奴
きょきょきょきょきょ(都合により以下略
まあ、あまり法奴なんて人は好きになれないということで。

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