至近距離にて今度は闇魔力を凝縮した針を無数に撃たれた。
 突っ込んで態勢が整わないまま、だが俺は慌てずに防御魔術を紡ぐ。
 「リフレクトイヴィル!」
 ハリネズミのような千本針の全てが、俺の身に当たる直前でそれぞれがあらぬ方向に散っていく。
 “悪”で“魔”に関するものは大抵これで反射できる。…早い話が、これで先方のお得意な攻撃はほとんどが俺に通じなくなってしまったわけだが。
 俺は地を蹴って汚手川のいる方に跳んだ。逃げながら大きな一発を食らわそうと詠唱しているが、生憎俺のほうが早い!
 振り下ろした剣の波動は、しかし寸前でテレポートされて空を斬った。
 かなり離れた後方に気配が戻って来た。詠唱を終えていたらしく、こちらに向かって巨大な黒い錐が飛んでくる。
 錐は黒のプラズマを撒き散らしながら高速で俺を破壊しようとギラついていた。
 …残念!
 ブワアンとこちら側に聞こえて、そのまま汚手川に向かって真っ直ぐ跳ね返って行く錐。
 発動後も魔力の調整次第で弾き散らすも百八十度向きを反転させることも可能でとってもお得なこの魔法、いかがですか奥さん。
 だがそう簡単な思惑通りには行かず、軽く手をかざすとその錐は汚手川に吸収されていった。
 ……その隙を待っていた。
 手順1、錐を吸収する汚手川のいる場所にアウトを合わせる。
 2、インは俺の目の前に。
 3、そして波動を出したままの剣を振り上げる。
 以上。

 要するに空間に魔力でつながりを作り、出入り口をそう設定してそこを斬ったということ。
 部分ワープした剣の波動が汚手川を切り裂いた。
 これは強烈に入った。相手は霊体なので霊界に干渉できたとしても、素人ならば見た目で判別できないので例え袈裟斬りだとしても実質のダメージは分かりにくい。
 だがCWは伊達じゃない。俺たちの目は真実、本質を映し出す。
 そして今の俺の目には確実に大きな傷を負わせているようにしか見えていない。
 間髪入れず、今度はもう少し腰を入れて剣を振り下ろす。
 (グギャアァァ!)
 醜い悲鳴が聞こえた。よし、トドメだ。
 ダッ!
 縮地さながらの高速で俺は距離を詰める。
 一度剣の波動を収め、柄の先を苦しむ汚手川に向けた。
 剣に力を注ぎ込み………一気に、噴出させる!
 「スペクトラルドリル!」
 黒を含めたあらゆる色が超高速で回転しながら、短い距離を埋め尽くす。まばゆく回転する極光が霊界の部屋を激しく彩った。
 そこにあった汚手川以雄三郎の霊体を丸ごと飲み込み、全身を抉りまわすように光は回り続る。
 (…………!)
 叫びが掻き消えた。俺は剣から力を抜くと、光の波動は消え去って元の暗い霊界が戻って来た。

 目の前にいた汚手川以雄三郎の霊体は、完全に消滅していた。
 完全色のスペクトラル質はありとあらゆる属性を持ち、受けたモノを完全に消滅し尽くす。
 いわばこれに関する一連の技は俺の必殺技だ。
 その力、たかが一世界の大魔王程度ならば楽に葬れる威力…まあ、見ての通りってことだ。


次回で長かったこの連載もようやく終わる予定です。
結構現代世界の描写が辛かったです。雄摩の活躍が減るかも。
…彼が一番重要なのに。しかも主人公格なのにー。

本日の検索ワード。
:渚カヲルのセリフ
エヴァ見たいです。こいつ結構好きなんですけど。
…多分俺腐男子じゃない。多分。

:マックシングとは
黄金のゲロ。(違

:小菊の花言葉
真実。うーん、CW。

いやはや、「電波男」の初感想には未だに検索でたどり着いてくれる人が多数おります。
DiaryNoteで早い段階では唯一感想まとめサイトに捕捉されたり、新しくTBまでもらっちゃったりで、我ながらとんでもないことをしてしまった感が…
でも、あれを読んでいただいて「電波男」を読んでもらって、今のこの恋愛を売り物にするような状況に対して疑問を持ってくだされば、感想を書いた者としてこれ以上の喜びはありません。

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