重厚そうな外見と異なり、王はかなりの速さで迫ってくる。
 ここは…回避。
 巨大な飛剣が一閃する。並の体であれを受けてはひとたまりも無いだろう。
 側転してかわし、こちらから斬りかかる。
 王はそれに素早い反応を見せて飛剣を構えた。
 俺の剣が閃く。相手はたかがそれなりの金属。負けるわけが無い。
 ギギィンッ!
 と音を立てて飛剣の上半分近くが斬れ飛ぶ。王の頬が薄く切れて血が飛んだ。
 さすがに驚いただろう、一瞬完全に動かなくなってしまっていた。
 そこを目掛け――――後ろっ!
 「ぐっ」
 気配を感じて後方に繰り出した蹴りは、俺を抑えようとしたのであろう先程の相手を真っ直ぐに捕らえていた。
 自分の主の不利に加勢するのは忠誠の表れではあるが、相手が悪かったな。
 その一瞬で王が気がついた。まだ戦意を喪失するでもなく、急ぎ後方へ跳んで手甲を……?
 迫る俺に腕を向ける。
 ……携帯機銃か!
 横っ飛びに再び回避。俺の居た所を掃射が嘗め尽くした。
 走る。王は射撃を止めていた。恐らく無駄撃ちを防ぐ為だろう、攻撃圏内に入ってからが勝負か。至近距離なら避けようもないからな。
 あと三歩…二歩…!
 一歩!
 その足で、一跳びに俺は王を飛び越えた。
 銃に対して真っ向から勝負するとは思ってなかっただろう、王も今度は驚きもせずに俺を目で追い、狙いを付ける。
 だがそれでは遅い。俺の着地先は彼女のすぐ後ろ。
 振り向く前に、一瞬でピタリと喉元に刃を突きつけた。
 「……っ」
 「これでも不満か?」
 「大した…奴だな」
 俺は剣を下ろした。先程の相手の安堵のため息、そして半分になった飛剣を地に付けて寄りかかる王。
 「こいつも斬られ、隠し銃も見切られて…か。言うだけの実力はあるようだな」
 言うまでも無い。それこそ。
 「いいだろう、お前を信用しよう。獣牙王の軍勢には私から通達を出しておくが、お前も行っておけ」
 「何故だ?」
 「獣牙王は私以上に好戦的だ。その目で実力を見るまでは止まるまい…私も同盟を結びに行ったとき、手合わせを頼まれたくらいだ」
 なるほど。まあいいだろう、行ってみるか。

 「待て」
 行こうとすると呼び止められた。
 「中央大陸へ行く前に知ってもらいたいことがある」
 そう言って、王は一枚の似顔絵を差し出した。
 「これは」
 「私の兄、シリウスだ。一人で戦線を離脱し、何をしているものやらさっぱりなのだが…いざと言う時には力になるかも知れん」
 俺はその顔を憶えると、鎧羅族の領を去った。


…手抜きのような…

本日の検索ワード:意識不明 意識が無くなる
その瞬間については特に何も書いてないです。
思いっきり短編なので参考には、ちと。

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