「ってんだよぉ……ぇしかあん……」
 帰りの電車で俺の視界を酔っ払いが通った。
 なにやらブツブツ独り言を言いながらふらふら歩いている。
 走る電車の中だ、危なっかしいったらない。
 周りの連中は見て見ぬ振り、通行先の奴は避けるように道を開ける始末。
 まあ、あんなオッサンを何とかしようとする奴はいないだろうな…
 ……俺を見て止まりやがった。面倒な予感。
 「うぉいお前ぇ〜、れくらいゆうめれんりゃねえよ」
 俺を見ながらまたごちゃごちゃと。
 ネクタイ緩めてんじゃねえよ、って言ってるのか。余計なお世話だ。
 俺は汗っかきなんだよ、こんなくそ暑い車内でんなもん締めてたら首の周りがダラダラになっちまうじゃねえか。
 元々普段から緩めてるけどな。
 「らくさいひんのわはいれんりゅうはほれらはら…」
 ったく、最近の若い連中はこれだから、か?
 うるさい、俺からすれば老害どもはこれだから、と言いてえよ。
 どうせ言っても聞きやしねえしまたぐずぐず言い出しそうだから言わないけどな。
 ぐだぐだ言い終わると今度は俺から三人ぐらい隣に座っている…OLらしきを睨みつけてまたごちゃごちゃ言い出す。
 …これは、電車男のシチュエーションじゃねえか。
 その辺の数人も気付いたのだろう。我先と立ち上がろうとする直前……
 「何ごちゃごちゃわけの分かんないこと言ってんのよ、爺さん!!」
 と、絡まれてたOLがいきなり酔っ払いを睨みつけて叫んでいた。
 「あんたがあたしを見てどう思うかなんて知らないけど、こっちはあんたの思うとおりにする気なんてさらさら無いのよ、一昨日来やがれよ!!」
 ……電車内がシーンと静まり返った。
 そのOLはさっと立ち上がり酔っ払いに肩をぶつけるとそのまま隣の女性専用車両に行ってしまった。
 ………やっぱり、女は怖ええ。本みたいにはいかないもんだなあ。
 俺と周りの数人は、きっとこの思いを共有してたことだろう…


深夜営業しているコンビニですから、酔っ払いも現れます。
言葉が不明瞭で何を言ってるか分からんのも腹立ちます。
いちいちいちゃもんを付けて来るのも腹立ちます。

ま、とりあえずは言葉の上でだけは謝り倒しておきますけどね。
本当はそんなことすらしたくないんですけどね。
「四の五の言わずにとっとと出てけ」これが本音ですよ。

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