相変わらずここの主な守り手はダメージが溜まったまま私の前に現れてくる。全員漏れなくやられているのは情け無いが、それだけ先に侵入した二人が強いのだろう。
 今私の前に立ちはだかっている赤い小悪魔も例にもれず、疲労が蓄積されたままのようだ。だがそれでも力を振り絞って攻撃を始めてきた。
 しかし、無言か…言語能力の無い使い魔の類なのか、それとも性格か、まあどっちでもいいか。

 今まで見たことの無い大きな魔力弾…
 さほど密度は高くないためにかわすのは容易だったが、突然こんなものを撃たれると言う事に窮してしまう。
 続いてクナイの弾をバラバラと。…発射方向に統一性が無く、私を狙っているわけでもない。しかも、弾速がやたらと遅い。
 それが私にたどり着く前に、再び先ほどの大きい魔力弾を放ってくる!
 規則性の有無のある二種類の弾を同時に使いこなすか…なかなかにやってくれる。
 だがこれでもまだ足りないな。
 せいぜいが二種類、規則性のある弾を避けつつ不規則な弾を避ける。
 普通なら多少の苦労は間違いないが、残念ながら彼女の今回の相手は私なのだ。この程度を避けられないのでは、仕事は務まらない。
 攻撃は時間差で行われるが、弾はほぼ常に発射し続けている状態のようだ。これでは近づけない。
 それなら遠距離から攻めるしかないが、丁度良い。
 さっきから私は彼女の攻撃パターンを解析しつつ回避法を考えていたが、そればかりに集中してはいない。ずっと溜めておいた魔力が杖に宿り、ボウと淡く光っている。
 あとは避けられないように撃つのみ。
 ふらふらと移動しつつ弾をばら撒く小悪魔。だが移動しながら攻撃していると急には方向を変えられないらしい。
 ならば…そこだ!
 「シュート・ザ・レイ!」
 杖の魔力を一気に彼女に向けて解放した。杖の先から一直線に魔力の光線がほとばしる。
 防戦一方だった私を見て勝てると踏んだのか彼女の口の端が軽く上がっていたが、私の一撃にその表情は驚愕に落とし込まれた。
 目をつぶって身構えた彼女の身体を光線が貫いた。

 再び飛来する幾何学悪霊にメイド妖精、弾吐きの本。
 攻撃は変わらず激しいが、それでも私は避けきっては反撃を喰らわせた。
 …先ほどの小悪魔にしても、あの攻撃なら致命傷にはなるまい。
 「ようやく静かになったと思ったら、今度は五月蝿い灰色が来るんだ」
 独り言のようにつぶやきの声がした。
 「疲れてるキーパーまでのして来ちゃって…隣人がうるさい時の対処法は、っと」
 声の主は、本棚の角でのんびりと本を拡げていた。
 「君は私の邪魔をする?」
 「書斎を荒らして邪魔してるのは、あなた」
 紫色の髪の、まだ幼女に見える。
 「不可抗力って言葉は知ってるかな」
 「逆じゃない」
 単純かつ的確な反論。なかなか長く生きてきたようだ。
 「通してくれないかな」
 「やっぱり、お嬢様に用でも?」
 「霧を出している張本人が、そのお嬢様なら」
 「だったら通せない」
 正解か…この館の主が『お嬢様』か。
 「ならば君を倒して行こう」
 「負けない。…ところであなた誰?」
 …敵から名を聞かれるとは。これも良いか。
 「…ライア・メビウス、よそ者さ」
 「ヨソモノがどうして?」
 「それは秘密。君は?」
 今一つ納得の行かない顔になる。可愛くない顔した子供そのものだ。
 「パチュリー・ノーレッジ…知識と日陰を操る者よ」
 『何か』に気付いて私は身をかわした。
 自己紹介が終わると同時に四条のレーザーがパチュリーから放たれたのだった。


名前出しちゃいましたね。
……ぐわー、気付けばもう二週間近く東方紅魔郷やってません。
絶対腕落ちてます…またクリアから遠ざかる。

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