「それっ…!」
 少女は放射状に魔力弾を発射してきた。何という量だ。
 これまでに無い密度に少々驚いたが、まだまだ。
 私が弾幕をすいすい避けているのを見て少女が符を取り出すのが視界の端に見えた。
 「虹符『虹彩の風鈴』!」
 更に続けて放射状に撃つ。しかし今度は連続的な発射に加え、なんとも視覚的に美しい色とりどりの弾。
 「…戦闘的な芸術とは言い難いが」
 少々畑の違う美しさとも言うか。そういうものに対する感性は人それぞれだろうが…
 なかなか激しい弾幕である。常に動かなければ当たってしまうだろう。
 隙間を狙って掻い潜りつつ…撃つ。
 ロッドからやや出力を高めた魔力弾を、一発。
 命中。
 「うぐぐ…」
 「この程度では私を落とすことはできないな」
 彼女は初めから飛ばす、などと言う割には手の内を見せていない。
 もっとポテンシャルの高い攻撃があるはず。そのくらいの実力は読める。
 「だったら見せてやるわ…彩符『極彩颱風』!」
 再びカラフルな魔力弾…しかし今度は完全に不規則に放たれる弾。
 「なるほど…これは…!」
 これは…面白い。
 柔らかく、という形容が合うように降ってくる弾もあれば、絶妙なカーブを描いて横殴りにこちらを狙う弾もある。
 それが各種大量に絶え間なく私に向かって降りかかってくるのだ。
 下手な動きは出来ない…このレベルの緊張は久し振りに感じる。
 腕を掠り、脚を曲げ避け、正面からの集中弾は上へ移動し切り抜ける。
 台風の中心地は…そこ!
 「シング・ストライク!」
 詠唱の種類によって何らかの物質の塊を標的に発射する魔法。
 今回は…岩だ。無論結界を施して多少の魔力弾は防げる物を。
 「!?」
 大慌てで避ける少女。まさか直撃を受けるわけには行くまい。
 弾の嵐が止まった。やはり静止してなければこの符は使えないらしい。
 「…連発も可能だ。観念して私を通せ」
 私の言葉に戦慄を見たのか、悔しさが彼女の顔に浮き出た。
 だがその表情が消える。

 「幻符…『華想無葛』」


ほとんど寝てました。睡眠不足のツケは厳しいです。

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