悪も道の一つ、正義だけが必要ではない
2004年12月3日 一次創作・CW ザァ… ザァ…
この雨は、全て涙か。
…馬鹿馬鹿しい。
「…許さない…」
震える手には小さなナイフ。
傍らには物言わぬ骸と化した少年の母親。
「絶対に許さねえ!」
泣きはらした赤い目が憎しみに歪む。
「うわあああああああ!!」
バシャバシャと水を跳ねて走り寄る。
「………」
俺は何も云わずに…
一振り。
任務完了――
遺体を陽電子波で完全分解、消滅させて俺は雨の村を去った。
俺は無言で、したためた報告データを創始者に渡した。
彼には実体が無いため正確には彼の仕事机に置いた、というのが正しいか。
レポート用紙はめくられつつ読まれている。物理的干渉もできるとは便利なものだ。
「相変わらず容赦も何も無い仕事内容だな…」
それが俺のやり方だ。
「そうなると分かってて俺に仕事を任せたんだろう」
「それにしても、と言いたかっただけだ」
霧の姿が頭部らしき部分を左右に振った。
………
乱世を引き起こし続ける男を斬れ…それが今回の任務。
だが、奴には妻息子がいた。
誰もが情にほだされ、或いは力に屈して彼に反抗した者はいなかった。
正確には逆らえば即、死につながるわけだが……
だから俺が派遣されたのだろう。
奴の首を取る者に必要なのは冷徹な強さ。
そう。上司を、父を慕う者の怨みをも撃滅し尽くす力。
感情などという安い要素に踊らされない心。
そして、機械のようにと揶揄されかねない事を否定できるだけの行動ができるということ…
世界に矛盾を生じない為には、それらを兼ね備えた俺である必要があった。
構いやしない、この道に入る前からずっとそうだった。
………
俺は後ろの扉を振り返った。
「貴様に立ち聞きの趣味があったとはな。聖騎士様が聞いて飽きれる」
扉が片方開き、入ってくる人影。やはりライナルだったか。
「君もそうだったろう」
…笑わせる。
「昔の話、しかも擬装だった俺に向かって今更何を」
「……そうだな。余計なことを言った。
ともかく、君のやり方は常軌を逸している、とは言わないまでも
少々残酷が過ぎるのではないか」
まだ言うか、この正義馬鹿は。
「ライナルよ」
俺が返答すら大儀に思っていると創始者が口を挟んできた。
「必要悪、という言葉は知ってるだろう。
平和に慣れた文明社会でよく言われている詭弁じみたそれとは違う、
本来の意味でのそれがアケルナルには有る。
…我々の仕事がお前の正義感に基づいた物など半分少々しかないなど、
既にわかりきっていたことだと思うがな」
当然だ。
カオス・ウォーリーズの本来の存在意義は次元修正。即ち善だろうと悪だろうと、次元や時間軸が壊れるような運命のズレを起こすもの全て
を消して元に戻すこと。
確かに正義を貫き通せるほどの力はあるが、何もかもがそうすればいいというわけでは無い。
そのところを理解していない奴が多すぎる。人員変更すべきとも思うが、な。
「………
ケルンやティスがこの場に居なかったことを感謝すべきだよ」
悔しそうな表情を浮かべてライナルは去った。
奴らしくも無いな。よりにもよって捨て台詞か…そんなに俺が嫌いか?
さておきケルンは問題外だが…ティスか。
別に奴はライナルやケルンのように正義に凝り固まっているわけではない。
ただ、邪気に対する感覚がとてつもなく強かった。そのためにかつての世界で人間の振りをしていた頃、俺は奴に目の敵にされていたのだった。
その状態でライナル達についていたものだから、未だにそれを意識しているのだろう…全く迷惑な話だ。
もっとも、最終的には奴等を殺すつもりでかかったからな…仕方の無い部分とも言えるか。
魔物である、ゆえに…ヒトを殺していた。
だから今更、誰を、何を殺めようと……知ったことではない。
俺に歯を剥けば、どんな小さな力だろうが、全て刈り取る。
反抗は、敵だと証明しているということ、だ…
――――アケルナル・ディ・ミシィ
今後書き足す可能性ありです。眠い…
結局書き足しました。エピソード足りませんよ、元のじゃ。
あと題名もなんか違うので修正です。
この雨は、全て涙か。
…馬鹿馬鹿しい。
「…許さない…」
震える手には小さなナイフ。
傍らには物言わぬ骸と化した少年の母親。
「絶対に許さねえ!」
泣きはらした赤い目が憎しみに歪む。
「うわあああああああ!!」
バシャバシャと水を跳ねて走り寄る。
「………」
俺は何も云わずに…
一振り。
任務完了――
遺体を陽電子波で完全分解、消滅させて俺は雨の村を去った。
俺は無言で、したためた報告データを創始者に渡した。
彼には実体が無いため正確には彼の仕事机に置いた、というのが正しいか。
レポート用紙はめくられつつ読まれている。物理的干渉もできるとは便利なものだ。
「相変わらず容赦も何も無い仕事内容だな…」
それが俺のやり方だ。
「そうなると分かってて俺に仕事を任せたんだろう」
「それにしても、と言いたかっただけだ」
霧の姿が頭部らしき部分を左右に振った。
………
乱世を引き起こし続ける男を斬れ…それが今回の任務。
だが、奴には妻息子がいた。
誰もが情にほだされ、或いは力に屈して彼に反抗した者はいなかった。
正確には逆らえば即、死につながるわけだが……
だから俺が派遣されたのだろう。
奴の首を取る者に必要なのは冷徹な強さ。
そう。上司を、父を慕う者の怨みをも撃滅し尽くす力。
感情などという安い要素に踊らされない心。
そして、機械のようにと揶揄されかねない事を否定できるだけの行動ができるということ…
世界に矛盾を生じない為には、それらを兼ね備えた俺である必要があった。
構いやしない、この道に入る前からずっとそうだった。
………
俺は後ろの扉を振り返った。
「貴様に立ち聞きの趣味があったとはな。聖騎士様が聞いて飽きれる」
扉が片方開き、入ってくる人影。やはりライナルだったか。
「君もそうだったろう」
…笑わせる。
「昔の話、しかも擬装だった俺に向かって今更何を」
「……そうだな。余計なことを言った。
ともかく、君のやり方は常軌を逸している、とは言わないまでも
少々残酷が過ぎるのではないか」
まだ言うか、この正義馬鹿は。
「ライナルよ」
俺が返答すら大儀に思っていると創始者が口を挟んできた。
「必要悪、という言葉は知ってるだろう。
平和に慣れた文明社会でよく言われている詭弁じみたそれとは違う、
本来の意味でのそれがアケルナルには有る。
…我々の仕事がお前の正義感に基づいた物など半分少々しかないなど、
既にわかりきっていたことだと思うがな」
当然だ。
カオス・ウォーリーズの本来の存在意義は次元修正。即ち善だろうと悪だろうと、次元や時間軸が壊れるような運命のズレを起こすもの全て
を消して元に戻すこと。
確かに正義を貫き通せるほどの力はあるが、何もかもがそうすればいいというわけでは無い。
そのところを理解していない奴が多すぎる。人員変更すべきとも思うが、な。
「………
ケルンやティスがこの場に居なかったことを感謝すべきだよ」
悔しそうな表情を浮かべてライナルは去った。
奴らしくも無いな。よりにもよって捨て台詞か…そんなに俺が嫌いか?
さておきケルンは問題外だが…ティスか。
別に奴はライナルやケルンのように正義に凝り固まっているわけではない。
ただ、邪気に対する感覚がとてつもなく強かった。そのためにかつての世界で人間の振りをしていた頃、俺は奴に目の敵にされていたのだった。
その状態でライナル達についていたものだから、未だにそれを意識しているのだろう…全く迷惑な話だ。
もっとも、最終的には奴等を殺すつもりでかかったからな…仕方の無い部分とも言えるか。
魔物である、ゆえに…ヒトを殺していた。
だから今更、誰を、何を殺めようと……知ったことではない。
俺に歯を剥けば、どんな小さな力だろうが、全て刈り取る。
反抗は、敵だと証明しているということ、だ…
――――アケルナル・ディ・ミシィ
今後書き足す可能性ありです。眠い…
結局書き足しました。エピソード足りませんよ、元のじゃ。
あと題名もなんか違うので修正です。
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